【労務の談話室】第10回 休職を進める前に確認すべきポイント

職員から体調不良のため仕事を休みたいとの申出があり、長期間にわたり欠勤をされているケースはございませんでしょうか。最近は、精神的な疾患によりに長期間欠勤をされていて、今後の職員の処遇についてどのように対応すればよいか顧問先様からよくご相談をいただきます。このような場合、私傷病休職に該当するのかどうかを検証していただく必要があるかもしれません。

 

今回は、この私傷病休職について話題にさせていただきます。

 

私傷病休職とは、保育中など業務以外でのけがや病気によって出勤して仕事ができない状態であり、かつ法人に在籍している状態を指します。

端的に言うと、私生活の中で患った病気等で仕事を休んでいる状態と言えます。

 

上記のように就業できない状況が続いた際に、基本的には就業規則に書いてある内容(「休職」など)の通りに進めます。例えば「業務外の傷病により1か月継続して欠勤した時、その翌日から休職とする。」と就業規則に記載していれば、まず1カ月間継続して欠勤しているか確認してから休職を職員へ発令します。

 

詳細は後述しますが、就業規則に書いてある内容以外のことは、休職にあたって職員へ指示することはできません。ですので、私傷病休職に該当し、法人が休職を職員へ発令するにあたって、「就業規則」の内容がとても大事になります。

 

では具体的に、休職のご相談を受けた際には、どのような確認のポイントがあるか見ていきましょう。

 

Q1:職員から休職についてご相談されたら、どのように進めればよいでしょうか?

 

まず、職員からどういった理由でお仕事ができなくなったか事情を面談等で把握しましょう。

その上で、私傷病休職に職員が該当した場合、就業規則の内容に沿って休職の対応を進めます。お手持ちの就業規則を確認しましょう。

 

代表的な例として、休職についてこのような内容が書かれているかと思います。

①休職発令時期:所定の休職事由が発生した日以後、休職発令が適用になることなど

②休職期間:休職発令以後、いつまで休職扱いになるかなど

③休職の手続き:法人が『休職期間通知書』を作成し、本人へ通知することなど

④復職:休職事由が消滅したときは、どのような基準で職場復帰を行うかなど

⑤休職者の退職:休職期間満了でも復職できなければ、退職となる旨など

 

◎上記の②休職期間について就業規則の記載例をあげますと・・・

例)業務外の傷病による欠勤が継続して1ヶ月を経過し、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき、欠勤が1ヵ月経過した日の翌日から起算して3か月間私傷病休職期間とする。

 

このように就業規則に記載されている内容に則って、休職の手続きを進めていきます。

 

Q2:もし就業規則に定めがない内容で休職を進めた場合はどうなるか?

就業規則に書いてある休職の内容以外のことを、法人は職員に指示することは原則できません。

過去の裁判では、就業規則に記載されていない内容で法人が休職の対応を行った結果、法人側が敗訴した事例があります。

 

就業規則に記載のないも事項で労務管理を進めるのは、法人としてもリスクをはらみますので、休職を職員に発令する際には就業規則を必ず確認するようにしてください。

 

今回お話させていただきました休職は、こういった様々な判断が必要になってきます。また、休職の対応の良し悪しを決めるのは、就業規則の内容が適切に定められていることが大切と言っても過言ではありません。

今一度お手持ちの就業規則をご確認いただくことをおすすめいたします。

 

もし何かご相談がございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。

 

(文責 村上)