保育園や認定子ども園、幼稚園(新制度へ移行した園)では、制度の変更も多く、給与の計算に苦慮されている方も多いのではないかと思います。今回は、給与計算で特にご質問をいただくことが多い、残業手当をテーマにしてみたいと思います。
早速ですが、例えば、保育士であるAさんに、下記給与項目に基づき給与を支給しているとします。
・基本給250,000円
・地域手当2,000円
・処遇改善Ⅰ手当20,000円
・処遇改善Ⅱ手当5,000円
・通勤手当2,000円
・遠足手当6,000円(遠足の付き添いがあった際に2,000円支給)
・被服手当3,000円(エプロンを買った際に、補助として支給される手当)
・バースデー手当2,000円(誕生日の月に、記念として年1回支給される手当)
その月に時間外勤務として20時間残業したため、残業手当を支給するとした場合、この残業手当の計算式は①から④のどれだと思われますか?
なお、1ヵ月の平均所定労働時間は160時間とします。
①:(基本給+地域手当 +通勤手当)÷160時間×1.25×20時間
②:(基本給+地域手当+処遇改善Ⅰ手当+通勤手当)÷160時間×1.25
×20時間
③:(基本給+地域手当+処遇改善Ⅰ手当+処遇改善等加算Ⅱ)÷160時間
×1.25×20時間
④:(基本給+地域手当+処遇改善Ⅰ手当+処遇改善等加算Ⅱ+被服手当)
÷160時間×1.25×20時間
答えは・・・③となります。
皆様の園の給与規程と照らし合わせ、残業手当の計算方法に違いはありますか?いろいろな手当がある中で、どの手当を残業手当の計算に入れるのか悩むところですね。
ここで正しい残業手当の計算式として判別しやすい語呂合わせをご紹介いたします。
それが、「勝つべし雀卓リーチ」です!(※一部例外もございます。)
「勝」・・・・家族手当(※家族をもつ職員に対して支給する手当)
「つ」・・・・通勤手当
「べ」・・・・別居手当(※単身赴任手当など、通勤の都合により同一世帯の扶養家族と別居を余儀なくされる労働者に対して、世帯が二分されることによる生活費の増加を補うために支給される手当)
「し」・・・・子女教育手当(※外務公務員の在外職員の子女が海外で学校教育等を受けるのに必要な経費に充当するために支給される手当)
「雀卓」・・・住宅手当
「リ」・・・・臨時に支払われる賃金(※上記、遠足手当・被服手当・バースデー手当など)
「ーチ」・・・1箇月を超えるごとに支払われる賃金
この語呂合わせは、残業手当の計算式に含まれない手当をさしています。逆に言えばこれ以外は残業手当の計算式として含まれます。
なぜこれらが残業手当の計算に含まれないかというと、個人的な事情によって金額が変動する手当だからです。例えば、通勤手当以外の給与が同じだとして、住居の場所が異なることにより通勤手当の額に差が出て、結果、残業手当に差が出るとしたら、本来、仕事で果たした役割や成果などの労働の対価として支払われるものが給与と考えると、少々不公平ですよね。
もし就業規則、給与計算について、ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社にお問合せください。
(文責 村上)