【労務の談話室】第3回 産前産後休業終了時改定(産休月変)の注意点について

 

毎月給与から控除されるもののうち社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)がありますが、その社会保険料の決定は毎年1回見直しの「定時決定」と、何らかの理由で給与に大きな変更があった場合の「随時改定」があります。

職員の「標準報酬月額」は原則として次の定時決定までの間変更しませんが、昇給・昇格などにより報酬に著しい変動がある場合は、実際に受けている標準報酬月額との間の隔たりを解消するために、「随時改定」が行われます。

今回は「随時改定」のうち「産前産後休業終了時改定(産休月変)」に関して、育児休業等終了時改定(育休月変)との違いについて、取り上げていきたいと思います。

 

産休月変の概要は以下の通りです。(育休月変も同様)

『産休(育休)終了日の翌日の属する月以後3か月間の報酬(支払基礎日数が原則17日未満の月を除く)の平均を報酬月額として、標準報酬月額が休業時点の標準報酬月額と1等級以上の差が生じた場合、被保険者が事業主を経由して保険者等に申し出をすることにより、標準報酬月額を改定する。』

概要は上記の通りですが、産休月変の場合は上記条件を満たしても対象にならない場合があります。

それは「休業に係る子を養育している」という要件が他にあるためです。

育休月変の場合は当然に子どもを養育していますが、産休月変ですと死産や流産等で養育する子がいない場合があります。そういった場合には産休月変の対象とはならないため、産休から復職した月から時短勤務などをしている場合でも、月変対象とならない=従前の標準報酬月額のまま控除することとなってしまいます。

育児する子がいないため勤務形態が変わらないかと言えば、決してそうとは限らないため(Ex.流産等のあと体調が優れず、時短勤務となった)、勤務形態の変更や手続きの際には必要要件の確認や適用時期に注意するようにしましょう。

(文責 佐藤)